2015年01月08日16時13分

インフレを考える 国内外の電気事情 ファイナンシャルプランナー洞口勝人のライフプランの「!」わかった ほらっ

インフレを考える
国内外の電気事情


正月に帰省したとき、田舎での話題の一つに、燃料である灯油の価格がありました。ガソリンスタンドの店頭には、1リットル105円と表示されています。18リットル=1890円です。次のグラフをみてもわかりますが、ここのところの円安もあり、上昇トレンドにあります。灯油を利用して暖を取る家庭がまだまだ多い地方では、灯油価格の上昇は家計を直撃します。
ひたひたと迫るインフレの足音。その中でも今回は、エネルギー自給率や電気代について考えてみたいと思います。国内で電気が使えないエリアはほぼ皆無かと思いますが、世界ではどうやら違うようです。
アジアの国々の「電気が使えない人」の割合をチェックしてみましょう。
先ずは中国から。急速に人件費が上昇し、生活が豊かになってきている13億5000万人の中で、電気が使えない人はどのくらいいるのでしょうか?



【灯油の東京都区部小売価格(年ベース、単位円、18リットルあたり)】



Q1
中国国内で電気が使えない人の割合は?(2011年)


(1)ほぼ0% (2)5% (3)10% (4)20%

正解は0 ・2%でした。もう少し高い割合ではないかと思いましたが、予想に反して国民ほぼ全員が電気を使っているという状況だったのです(正解は一番近い1番、以下すべて国際エネルギー機関公表のデータより)。発電所や送電線というインフラが、中国の場合はほとんど整っ
たということのようです。
では、世界第2位の人口(約12億5000万人)を抱えるインドはどうなのでしょうか?

Q2
インド国内で電気が使えない人の割合は?(2011年)


(1)5% (2)15% (3)25% (4)35%

中国の0.2%に対して、インドは24.7%でした(正解は一番近い?番)。なんとまだ4人に1人、3億人ほどが電気を
使えない生活をしているのです。0.2%VS24.7%というのは久しぶりに驚いたデータでした。中国より暑い国であるインドにおいて、まだ3億人が電気
のない生活をしている。我々日本人には考えられない生活環境に多くの人々が置
かれているのです。
では、現在世界一脚光を浴びているミャンマーはどうなのでしょうか? 勤勉な6000万人強が住む同国には、最後のフロンティアとして国内からも熱い視線が注がれています。

Q3
ミャンマー国内で電気が使えない人の割合は?(2011年)


(1)5% (2)15% (3)30% (4)50%

正解はなんと51%でした(正解は一番近い?番)。約半分の3000万人がまだ電気を使うことができない状況にあるのです。これはミャンマーの潜在能力の高さでもあります。ちなみに、インドネシアで27%、バングラデシュでは40%にもなるとのこと。アジア全域で電気を使えない人がこれほど多いとは思いませんでした。アジアにはまだまだ膨大なインフラ需要があるんですね。
翻って、原子力発電所がすべて止まってしまった我が国。石炭やLNG(液化天然ガス)などの化石燃料を大量に輸入せざるを得なくなりました。そこに今回の円安が重なったのです。
では、2013年11月までの1年間で国内の電気料金(一般家庭)は平均してどのくらい上昇したのでしょうか

Q4
国内の電気代はこの1年で何%上がったの?


(1)4% (2)8% (3)15% (4)30%

この1年間の上昇率は8.2%となっています(正解は一番近い?番)。消費者物価指数が前年同月に比べて1・2%上昇していますが、電気代の上昇が大きな影響を与えているのです。
ところで、発電の源であるLNG(液化天然ガス)の価格がここのところ高止まりしています。日本が買いまくっているからなのですが……。ちなみに、我が国はLNGのほぼ全量を輸入しています。
では、日本全体が1日あたりに使用する何日分の備蓄が国内に確保されているのでしょうか?

Q5
LNGの備蓄は何日分あるの?


(1)20日 (2)60日 (3)120日 (4)200日

なんと日本全体の使用量のわずか20日分しか備蓄がないようです(正解は1番)。これでは、なんらかの理由で中東やアジアからの輸入が途絶えた場合、日本は電気さえ使えない状況に陥ってしまうことが予想されます。それだけ危ういエネルギー環境にあるということを、我々はいよいよ本格的に認識すべき時にきたのではないでしょうか。
また、家庭の電気代が上がるということは、電気料金に輸入するLNG等の価格が転嫁されていることを意味します。では、今回の大震災の前後を比べた場合、日本全体でどのくらい化石燃料を輸入する金額が増えたのでしょうか?

Q6
2010年度と2013年度を比べて、化石燃料の輸入金額はどのくらい増加したの?


(1)3兆円 (2)6兆円 (3)9兆円 (4)12兆円

2010年度の化石燃料の輸入額は18兆1000億円。それが、原発の停止や円安により2013年度は27兆1000億に達すると予想されています。3年前と比較して、9兆円もの国富が1年間で海外に流出しているのです。ちなみに、日本人1人あたりに換算してみますと約7万円となります。それだけ様々な商品やサービスの価格が上がったことを意味します。
それでは最後の問題です。日本のエネルギー全体の自給率はいったい何%なのでしょうか?

Q7
日本のエネルギー自給率は?(2007年)



(1)5%以下 (2)10% (3)20% (4)30%

エネルギー資源庁によりますと、日本のエネルギー自給率はわずか4%となっています(正解は?番、原発を除く)。エネルギー自給率が4%ということは、「日本は国内に化石燃料がほとんどないため、海外からどうしても輸入せざるを得ず、円安やインフレにとても弱い体質」たということを意味しています。



【灯油の東京都区部小売価格(年ベース、単位円、18 リットルあたり)】


エネルギー資源庁によりますと、日本のエネルギー自給率はわずか4%となっています(正解は1番、原発を除く)。エネルギー自給率が4%ということは、「日本は国内に化石燃料がほとんどないため、海外からどうしても輸入せざるを得ず、円安やインフレにとても弱い体質」だということを意味しています。
原発や為替の状況についての見通しは難しいですが、これだけ低いエネルギー自給率やLNG備蓄の現状を考えますと、風力や太陽光などの代替エネルギーに国として急速に取り組む必要があるのは間違いありません。
また、我々個人としても、食料・資源・エネルギーが非常に少ない国に住む以上、本格的にインフレに対する準備をするべきときがいよいよやってきたのではないかと強く感じます。
ぜひ今回のポイントを踏まえた上で、今後の資産運用に役立てていただければと思います。



洞口 勝人(ほらぐち・かつひと)
ファイナンシャルプランナー(CFP 日本FP協会認定)。1963 年生まれ、岐阜県出身。86年早稲田大学教育学部卒業後日興証券入社。02 年日興コーディアル証券退職と同時にFP として独立。
現在は、全国の金融機関等の研修講師を務める一方、金融・経済・投資に関するセミナー・講演会を年間約200回(参加者数約2万人)行っている。


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