2015年02月09日11時33分
2014年を振り返り2015年に活かす!ファイナンシャルプランナー洞口勝人のライフプランの「!」わかった ほらっ
2014年を振り返り
2015年に活かす!
~本当はどの通貨&分野が強かったのか?~
2015年のマーケットは、原油価格の大幅な下落もあり波乱の幕開けとなりました。そんな中、どのように資産構成を見直したら良いのでしょうか?2014年を振り返りながら、いくつかの重要なポイントについて今回は考えてみましょう。
2014年1年間の各通貨・各分野のリターン(=パフォーマンス)は実際のところどうだったのでしょうか? まずは米ドルVS豪ドル。米ドルは昨年前半、ほとんど動きがありませんでした。いわゆる凪状態です。【図1】
一方の豪ドルは、9月までに10%を超える円安となっています。その後、10月31日の黒田バズーカ砲第2弾により、両通貨とも円に対して上昇しましたが、原油価格等資源価格の急落により、豪ドルは反落。1年間の為替のリターンは米ドルが約19%、豪ドルが約10%と9%ほどの差があります。
ただ、両通貨の短期金利は、米ドル0・25%に対して豪ドル2・5%。外貨建ての定期預金や通貨選択型の投資信託を保有した場合、つまり短期金利を加味して考えた場合の両通貨のリターンの差は、金利差分である、2・5%マイナス0・25%=2・25%縮小することになります。その結果、米ドルのリターンは豪ドルに対して+7%ほどと考えたほうが良さそうです。【図1】
では、米ドルと新興国のリターンの差はどうだったのでしょうか? まずはブラジルレアルから見てみましょう。ブラジルレアル建ての投資信託は、2014年に各通貨建て投信の中で一番多く売却・解約され、その純資産を大きく減らしています。では、そんなにパフォーマンスが悪かったのでしょうか?
ブラジルレアルの場合、豪ドルと同じく9月までは順調な為替差益を確保していました。【図2】しかしその後、ルセフ大統領が再選されたことに失望した投資家が多かったことや資源価格の下落もあり、結局1年間の為替のリターンは約8%となっています。米ドル(19%強)との差は11%にもなります。
しかし、ブラジルレアルの短期金利は、年間を通して11%前後で推移しました。つまり、短期金利を加味した場合、米ドル(19%強)とブラジルレアル(8+11=約19%)は、ほとんど同じパフォーマンスだったということになります。為替差益のみを見ていると間違えてしまうという典型的なパターンですね。①為替差益 ②インカムゲイン(金利・配当)双方をしっかりとチェックしましょう。【図2】
もう一つ、トルコリラについても考えてみましょう。2014年1月のアルゼンチン危機時に、トルコは通貨防衛のため、政策金利を4・5%から10%に引き上げました。その後、緩やかに利下げを行っていますが、昨年末の段階でも8・25%となっています。
単純な為替のパフォーマンスの差は、米ドル19%VSトルコリラ16%と3%の差がありますが、短期金利の差を8%としますと、年間を通したパフォーマンスは、実はトルコリラが5%上回っていたのです。【図3】
以上より、短期金利を加味して4つの通貨を比較した場合のパフォーマンスランキングは、
(1)トルコリラ (2)米ドル (3)ブラジルレアル (4)豪ドル
という順になります。
ぜひ、半年ごと・1年ごとに、短期金利を加味した各通貨の本当の意味でのパフォーマンス(実際はさまざまなコストがかかります)を、しっかりと確認していただければと思います。【図3】
次に、国内の各セクターのパフォーマンス差はどうだったのでしょうか? 株式と不動産の代表的な指数である日経平均と東証リート指数を比較してみましょう。【図4】
グラフから読み取れるのは、1年間に20%近い円安ドル高となったにもかかわらず、日経平均の年間パフォーマンスは10%だったという点です。これは、日経平均に採用されている225社の中には、実は「円安デメリット」会社が多いということを意味しています。
一方で、東証リート指数は28%ものパフォーマンスをたたき出しました。きっと、東証リート指数を構成するJリート48社の中には、「円安デメリット」企業は皆無なのでしょうね。つまり、「円安&インフレ時に本当に強いのは」「円安&インフレ時に本当に値上がりをするのは」、Jリートだということなのです。
ぜひ、この2つのセクターの年間パフォーマンスの差の意味を、しっかりと理解していただければと思います。【図4】
最後に、日米の株式を比較してみましょう。日経平均は約10%のリターンでしたが、NYダウはどうかといいますと……。実はほとんど同じパフォーマンスだったのです。連日史上最高値を更新していたNYダウ平均のパフォーマンスは、個人的にはもう少し高いのではないかと感じていましたが、日米はイーブンだったんですね。私のように、イメージだけで間違った認識をしている場合が他にも結構あるのではないでしょうか。
(1) 各為替の年間リターン (2)各国の短期金利 (3)各指数の年間リターン
をしっかりと確認し、保有する投資信託等のパフォーマンスと比較することが大切です。
2015年の資産構成を決定する場合、分配金の多さや、基準価額の低さなど「表面的な」数値のみを判断材料とせず、ぜひ「実質的なリターン」を重要視していただければと思います。【図5】
2015年に活かす!
~本当はどの通貨&分野が強かったのか?~
2015年のマーケットは、原油価格の大幅な下落もあり波乱の幕開けとなりました。そんな中、どのように資産構成を見直したら良いのでしょうか?2014年を振り返りながら、いくつかの重要なポイントについて今回は考えてみましょう。
2014年1年間の各通貨・各分野のリターン(=パフォーマンス)は実際のところどうだったのでしょうか? まずは米ドルVS豪ドル。米ドルは昨年前半、ほとんど動きがありませんでした。いわゆる凪状態です。【図1】
一方の豪ドルは、9月までに10%を超える円安となっています。その後、10月31日の黒田バズーカ砲第2弾により、両通貨とも円に対して上昇しましたが、原油価格等資源価格の急落により、豪ドルは反落。1年間の為替のリターンは米ドルが約19%、豪ドルが約10%と9%ほどの差があります。
ただ、両通貨の短期金利は、米ドル0・25%に対して豪ドル2・5%。外貨建ての定期預金や通貨選択型の投資信託を保有した場合、つまり短期金利を加味して考えた場合の両通貨のリターンの差は、金利差分である、2・5%マイナス0・25%=2・25%縮小することになります。その結果、米ドルのリターンは豪ドルに対して+7%ほどと考えたほうが良さそうです。【図1】
では、米ドルと新興国のリターンの差はどうだったのでしょうか? まずはブラジルレアルから見てみましょう。ブラジルレアル建ての投資信託は、2014年に各通貨建て投信の中で一番多く売却・解約され、その純資産を大きく減らしています。では、そんなにパフォーマンスが悪かったのでしょうか?
ブラジルレアルの場合、豪ドルと同じく9月までは順調な為替差益を確保していました。【図2】しかしその後、ルセフ大統領が再選されたことに失望した投資家が多かったことや資源価格の下落もあり、結局1年間の為替のリターンは約8%となっています。米ドル(19%強)との差は11%にもなります。
しかし、ブラジルレアルの短期金利は、年間を通して11%前後で推移しました。つまり、短期金利を加味した場合、米ドル(19%強)とブラジルレアル(8+11=約19%)は、ほとんど同じパフォーマンスだったということになります。為替差益のみを見ていると間違えてしまうという典型的なパターンですね。①為替差益 ②インカムゲイン(金利・配当)双方をしっかりとチェックしましょう。【図2】
もう一つ、トルコリラについても考えてみましょう。2014年1月のアルゼンチン危機時に、トルコは通貨防衛のため、政策金利を4・5%から10%に引き上げました。その後、緩やかに利下げを行っていますが、昨年末の段階でも8・25%となっています。
単純な為替のパフォーマンスの差は、米ドル19%VSトルコリラ16%と3%の差がありますが、短期金利の差を8%としますと、年間を通したパフォーマンスは、実はトルコリラが5%上回っていたのです。【図3】
以上より、短期金利を加味して4つの通貨を比較した場合のパフォーマンスランキングは、
(1)トルコリラ (2)米ドル (3)ブラジルレアル (4)豪ドル
という順になります。
ぜひ、半年ごと・1年ごとに、短期金利を加味した各通貨の本当の意味でのパフォーマンス(実際はさまざまなコストがかかります)を、しっかりと確認していただければと思います。【図3】
次に、国内の各セクターのパフォーマンス差はどうだったのでしょうか? 株式と不動産の代表的な指数である日経平均と東証リート指数を比較してみましょう。【図4】
グラフから読み取れるのは、1年間に20%近い円安ドル高となったにもかかわらず、日経平均の年間パフォーマンスは10%だったという点です。これは、日経平均に採用されている225社の中には、実は「円安デメリット」会社が多いということを意味しています。
一方で、東証リート指数は28%ものパフォーマンスをたたき出しました。きっと、東証リート指数を構成するJリート48社の中には、「円安デメリット」企業は皆無なのでしょうね。つまり、「円安&インフレ時に本当に強いのは」「円安&インフレ時に本当に値上がりをするのは」、Jリートだということなのです。
ぜひ、この2つのセクターの年間パフォーマンスの差の意味を、しっかりと理解していただければと思います。【図4】
最後に、日米の株式を比較してみましょう。日経平均は約10%のリターンでしたが、NYダウはどうかといいますと……。実はほとんど同じパフォーマンスだったのです。連日史上最高値を更新していたNYダウ平均のパフォーマンスは、個人的にはもう少し高いのではないかと感じていましたが、日米はイーブンだったんですね。私のように、イメージだけで間違った認識をしている場合が他にも結構あるのではないでしょうか。
(1) 各為替の年間リターン (2)各国の短期金利 (3)各指数の年間リターン
をしっかりと確認し、保有する投資信託等のパフォーマンスと比較することが大切です。
2015年の資産構成を決定する場合、分配金の多さや、基準価額の低さなど「表面的な」数値のみを判断材料とせず、ぜひ「実質的なリターン」を重要視していただければと思います。【図5】
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