2015年05月28日17時14分
市長からのメッセージ 京都市長に市の魅力やまちづくりのビジョン
京都市長に市の魅力やまちづくりのビジョンをお伺いしました。
京都市長 門川 大作
京都市
【面積】827.583 km2
【人工】1,465,994 人
【世帯数】699,953 世帯
(平成27 年4 月1 日現在)
ものづくりや伝統文化・産業を
次の世代や世界に伝えていく
京都市の観光客数は、年間5000万人を超えるようになりました。おもてなしの人づくりにも力を注ぎ、京都大や同志社大、平安女学院大等で観光学の講座を開いています。一方で、豊富な伝統文化や伝統産業を立て直す作業もしています。さらに、神社や寺の多い宗教都市ならではの情報を発信する取り組みも始めました。
今年2月に、京都マラソンと併設している「Inter Faith駅伝」を開催しました。この駅伝は、様々な宗教が共存する平和な世界を目指すことを目的に、仏教、神道、キリスト教、イスラム教など異なる宗教者4人で1チームを作ります。コースは、西京極総合運動公園からスタートして、仁和寺前、聖ドミニコ女子修道院前等の各地点で襷をつなぎ、平安神宮がゴールです。世界を見渡すと、宗教間の対立が大きな問題となっています。それとは対照的に、寺院や教会など多くの宗教施設が立ち並ぶ京都には、世界中の異なる宗教者が祈りを捧げに訪れます。世界に冠たる宗教都市・京都。特に異なる宗教が互いを認め合う象徴のような都市だからこそ発信していけるメッセージがあると考えています。
着物は京都の伝統文化・産業の一つ。市長に就任してから、ほぼ毎日着物を着るようになりました。動機は、市長に就任して間もない時期に、国内外からのお客さまから「京都にはもっと着物姿の人が多いと思っていました」などと言われたことです。着物を着る人が減ってしまい、西陣織など伝統産業も先細りになりつつもあります。先ずは私が着物を着ることで、伝統文化・産業の継承に貢献したいとの思いです。
着物を着る機会を作ることも重要です。今年1月5日の京都市役所の仕事始めでは、職員になるべく着物姿で来てもらうようにお願いしました。400~500人は着てきてくれましたね。また、毎年春分の日に「きものクラシックコンサート」と題して、着物姿の方1800名を京都市交響楽団のコンサートにご招待する取り組みも実施しています。
平成25年には、日本酒で乾杯する習慣を広めるための「日本酒で乾杯」という条例を、議員立法で制定していただきました。これはお酒の条例ですが本質は文化条例です。日本のものづくりや伝統文化・産業を再認識して、次の時代や世界へ伝えていくためのものです。和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて、世界では日本酒の消費量がどんどん伸びてきています。ところが日本での消費は、この10年あまりで4割も減りました。世界から評価されているものが日本で認識されないのは、もったいないことです。京都を皮切りに、今では全国100 以上の自治体で乾杯条例が制定されています。
日本酒条例の制定を契機に、今年2月には、バレンタインデーにチョコを贈ることにかけて「マイ猪口(チョコ)を贈ろう!」というキャンペーンを実施しました。京焼・清水焼のお猪口と、西陣織のお猪口袋を組み合わせたギフトの提案をしました。そしてホワイトデーには、日本酒で乾杯する。これをほろ酔い婚活へとつなげて、人口減少社会に挑戦していこうと、ちょっと真面目にやっています。
教育もずいぶん変わりました。市立堀川高校は1999 年に築70年の老朽化していた校舎を建て直すと同時に、生徒が自ら課題を見つけて研究する「探究科」をスタートさせました。重要だったのは、教師は変えなかったことです。多くの高校は、改革の時に教師を入れ替えます。しかし堀川高校では教師の顔ぶれは変えず、「意識」と「行動」で成果を上げました。それにより、「わしらがやらんといかんなぁ」と堀川の教師たちが決起して、「堀川の奇跡」と呼ばれるほどの成果を出すことに成功したのです。2002 年には、国公立大学現役合格者数が前年の6人を大きく上回る106 人へと伸びました。文武両道でクラブ活動も活発です。
堀川高校の成果が相乗効果を生み、9つある市立高校全体が良くなりました。「あの堀川でできたことは自分らもできる」と、堀川でのやり方を他の学校も学んでくれたのです。来年統合する市立伏見工業高校と市立洛陽工業高校は、就職が厳しかったこの13年間、学校斡旋就職希望者の100 パーセントが就職してきました。
徹底して、教職員のモチベーションをあげることに注力しました。かつて元ラグビー日本代表の山口良治監督が、荒れ果てた伏見高校をラグビーで全国一に押し上げた例があります。現場に神は宿る、ということですね。
京都市の南に位置する伏見には、農業、名所旧跡、伝統産業から最先端の産業まであらゆるものが揃っています。名所旧跡は世界遺産の醍醐寺を始め、数え切れないほどありますが、最近特に注目が集まっているのは伏見稲荷です。海外の人が日本で一番行きたいところに急上昇し、外国からの観光客が多く集まるようになりました。
伏見には織物、染物、陶磁器、印刷など様々な伝統産業がありますが、一番は日本酒。25の酒造メーカーが世界を視野に今も頑張っておられ、京都でとれた米と水を使って日本酒を造っています。大都市でありながら農産物も豊富で、筍はやわらかくて風味があり、上品な美味しさですし、九条ネギも有名です。
伝統産業を先端産業へと発展させるイノベーションの街でもあります。たとえば、陶器からセラミックを生み、最先端機器などのメーカーになった京セラ。宝酒造は、お酒から生薬を生み、さらにバイオテクノロジーへと発展してタカラバイオという会社も発展しました。また、クロスエフェクトなどグローバルニッチな素晴らしい企業もたくさんあります。観光、産業ともに世界へ開かれた街、それが伏見です。
世界で最も影響力をもつ旅行雑誌のひとつ、「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」誌が行った
読者投票「ワールドベストアワード2014」において、京都市が世界で最も魅力的な観光都市に選ばれています!
2014 年 ワールドベストシティ
1 位 京都(日本)
2 位 チャールストン(アメリカ)
3 位 フィレンツェ(イタリア)
4 位 シェムリアップ(カンボジア)
5 位 ローマ(イタリア)
2014 年 アジア地区
1 位 京都(日本)
2 位 シェムリアップ(カンボジア)
3 位 バンコク(タイ)
4 位 東京(日本)
5 位 香港(中国)
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- 5L編集部
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