2015年11月04日11時00分

11月のコラ!!ム 木村政雄

「くさい」というと、「いやな臭いがする」・「疑わしい」などあまり肯定的なイメージのする言葉ではないが、そんな「くさい」香料をわざわざ造っている会社があるという。ガスの原料となる液化天然ガス(LNG)は無臭で漏洩の際に検知するのが難しいので、事故を防止するために「ガスとすぐ分かる臭い」で、「人体に影響にないもの」を付けることが法律で決められているのだが、この「ガス事業法」では「ガスっぽい臭い」というだけで、どんな成分かとまでは規定されていない。そのためメーカーごとに付臭剤が異なり、全国各地で微妙に臭いの異なったガスが提供されているのだという。まさか大阪ガスは、ほのかにお好み焼きの香りがしたり、広島ガスがオイスターの香りがしたりなんてことはあるまいが、「香り」とは食品や化粧品をみるまでもなく、「好ましいもの」に更に価値を付与するものだとばかり思っていた私には新鮮な発見であった。してみると、いま各地で見受けられる「おじんくささ」や「おばんくささ」は、無用な事故を回避するための手段としては正しいのかも?

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