2016年03月09日10時00分
にっぽん日和 北海道札幌市
にっぽん日和 北海道札幌市
冬は美しい雪景色を見せる北海道・札幌市。降り積もる雪は、大通公園などで開催されるイルミネーション、札幌市時計台などを幻想的に演出します。開拓使に由来するものや美味しい食べ物等々、札幌市には魅力がいっぱいです。
カメラ/渡邊春信 ライター/吉田彩乃 デザイン/北川原由貴 プロダクションマネージャー/池田大作 スペシャルサンクス/札幌市
大通公園、時計台、赤れんが庁舎…札幌の観光名所
「さっぽろ雪まつり」の開催などで知られる大通公園は、札幌の中心部を東西1・5㎞にわたって横切っています。夏は「SAPPORO CITY JAZZ」やビアガーデン、秋は「さっぽろオータムフェスト」など、四季折々のイベントが催され、年間を通じて人が集まり賑わう場所でもあります。
「さっぽろ雪まつり」に先駆けて行われる「さっぽろホワイトイルミネーション」はいまから35年前、1981年に開始しました。当時の札幌は夏の観光が主流。札幌の美しい冬景色をより多くの人に知ってもらうために、雪が降る札幌ならではの白銀の景色と美しいイルミネーションを融合させた幻想的なイベントを産み出しました。初年度に使われた電球の数は1048個。現在は大通公園だけではなく駅前通・南一条通へと規模が拡大し、合計52万個もの電球が街を彩る大イベントへと発展しました。
その他の札幌の名所といえば、札幌市時計台や、赤レンガ庁舎(北海道庁旧本庁舎)が有名。この二つをめぐる際には、建物のどこかに刻まれた「赤い星」を探してみてください。これは、かつて開拓使が旗や建物に描いた「五稜星」がルーツ。札幌の歴史を物語っています。
1878年、クラーク博士の構想に基づき建設された札幌市時計台
雪化粧の赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)
北海道の歴史的遺産、北大ポプラ並木
札幌市北区北8条西5丁目 北海道大学構内
北海道大学構内のポプラ並木は、「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選ばれた、北海道を代表する歴史的遺産です。
ポプラ並木の基となったのは、北海道大学の前身である札幌農学校時代の1903年に、数本のポプラが植えられたことが始まりでした。1912年になると林学科の学生たちが実習の一環でさらに45本のポプラを植えたことから、並木道を形成するようになったと言われています。
現在は大切に保存されているポプラ並木ですが、過去には伐採の危機にさらされたことも。1959年に大型台風が襲来し、10本近くのポプラが倒れてしまうと、安全面などの問題から、残りも全て伐採しようという意見が出ました。それを救ったのが、小学校5年生の女の子から当時の北海道知事への1通の手紙でした。「私たちのポプラがかわいそう。植え直してあげてください」。彼女の切実な願いから、北海道と北海道大学の協力でポプラが植樹され、それ以前よりも長い300mの並木道へと成長しました。
雪の降り積もる時期になると、銀世界の中でそびえ立つポプラ並木が、美しい景観を生み出します。
さっぽろ産業振興財団の佐藤有史さん(右)。学生時代はサッカー部でした。
屯田兵が暮らした家屋「琴似屯田兵屋(ことにとんでんへいおく)」
北海道の警備と開拓を目的に本土から入植してきた屯田兵は、政府によりあらかじめ用意された「兵屋」を住居としていました。琴似神社で保管されている琴似屯田兵屋は、当時の兵屋の原形を残す数少ないもののひとつ。北海道指定有形文化財に認定されています。
兵屋は一戸建てで、村ごとに定まった規格で作られていました。琴似屯田兵村では木造平屋で、間取りは土間と居間、8帖、4・5帖の和室からなり、全体で約17坪の広さでした。囲炉裏や火鉢などの道具からは、屯田兵が北海道の長くて厳しい冬の寒さに耐え、屯田兵としての使命をまっとうしようとした逞しさがうかがえます。
札幌市西区琴似1条7丁目 琴似神社境内
北海道最古にして最大級の商店街
狸小路商店街は、北海道内で最大級の規模を持つ商店街です。7ブロック総延長は約900m、店舗数は約200軒にものぼります。ドラッグストアやスーパーなど日用品を扱う店から土産物店などさまざまなお店が並び、地元の人をはじめ海外からの観光客で賑わっています。屋根付きで、雨や雪の日でも傘をささずに歩けるのも便利。足元が滑る心配もありません。
「狸小路」の名前にちなんで、商店街のいたるところで可愛らしい狸の置物を見かけます。狸小路五丁目には、「狸神社」の通称で親しまれている本陣狸大明神社も。しかし、なぜ狸小路の名になったかは定かではないそう。狸小路発祥について触れた『札幌繁昌記』1891年刊)によれば、街頭に立って言葉巧みに男を誘った女たちを狸になぞらえたことが由来の定説。この一帯に狸が生息していたから、とする説もあります。
狸小路は、北海道最古の商店街のひとつでもあります。始まりは、1869年に明治政府が開拓使を札幌に置いた頃に商家や飲食店が建ち並んだこととされています。
世界で初めてゴムタイヤを採用した札幌市営地下鉄
電車といえばレールの上を鉄輪で走るのが一般的ですが、札幌の地下鉄はゴムタイヤを採用しています。ゴムタイヤ車両は、粘着性が高いため加速・減速がしやすいのが特徴。駅間距離の短い札幌市営地下鉄において、この性能は重宝されています。最近では東京都内を走るゆりかもめなどにも採用されていますが、1971年に営業を開始した札幌市営地下鉄は、世界で初めてゴムタイヤを使った先駆者的存在でした。
札幌市交通局の中田奈津子さん
「大山慎介のちょっと暮らし北海道」の収録現場
右から北海道田舎プロデューサーの大山慎介さんとフリーレポーターの山本浩子さん
STVラジオ「大山慎介のちょっと暮らし北海道」は、北海道の魅力を伝えるラジオ番組です。パーソナリティーを務める大山慎介さんは、元北海道庁職員。気になる地域に試験的に滞在しながら移住を検討する「ちょっと暮らし」を、全国で初めて企画しました。現在は、「北海道田舎プロデュース」代表として活動中。柔らかい丁寧な物腰の内側には、北海道への熱い思いを秘めています。同番組制作担当の三井孝浩さんも「北海道の中でいちばん北海道のことを真剣に考えている人」と、大山さんのことを語っています。
見た目は饅頭、名前は「あんぱん」
右から代表取締役の本間幹英さんと、「看板娘」の大堀禮子さん。
1906年、銀座・木村屋の「桜あんぱん」が大変美味しいという噂をもとに、月寒の菓子職人・本間与三郎がまだ見たことのない「あんぱん」を想像して作ったのが「月寒あんぱん」でした。
今年4月に80歳を迎える大堀禮子さんは、「月寒あんぱん本舗ほんま」の店頭に立ち続けて50年。大堀さんとの会話を楽しみに来店する人も沢山いるそう。
札幌市豊平区月寒中央通8丁目1-10月寒中央ビル1階
昭和の思い出が詰まった博物館
札幌市西区二十四軒3条7丁目3-22
北海道のロングセラー商品「しおA字フライ」。アルファベット型のビスケットとして、1955年の発売開始以来、北海道の子供から大人までに親しまれています。製造元の「坂栄養食品株式会社に併設された「レトロスペース 坂会館」では、展示品は全て、同社の開発部長・坂一敬さんが50歳頃から20年近くかけて集めてきた昔のポスター、人形、骨董品等がびっしりと展示されています。
京都の鴨川よりえらい!?鴨々川
札幌市内を歩いていて、ちょっと気になるのが鴨々川。京都の鴨川を彷彿させるネーミングが目を引きます。 名前の由来は定かではなく、一説によると、札幌が京都にならって碁盤の目状の街づくりをしたことから、京都の鴨川にちなんだ名前にしたのだとか。その他、「カモカモ」という、サケを獲る道具を意味するアイヌ語を語源としているのでは?と推測している説など、諸説あります。
冬は美しい雪景色を見せる北海道・札幌市。降り積もる雪は、大通公園などで開催されるイルミネーション、札幌市時計台などを幻想的に演出します。開拓使に由来するものや美味しい食べ物等々、札幌市には魅力がいっぱいです。
カメラ/渡邊春信 ライター/吉田彩乃 デザイン/北川原由貴 プロダクションマネージャー/池田大作 スペシャルサンクス/札幌市
大通公園、時計台、赤れんが庁舎…札幌の観光名所
「さっぽろ雪まつり」の開催などで知られる大通公園は、札幌の中心部を東西1・5㎞にわたって横切っています。夏は「SAPPORO CITY JAZZ」やビアガーデン、秋は「さっぽろオータムフェスト」など、四季折々のイベントが催され、年間を通じて人が集まり賑わう場所でもあります。
「さっぽろ雪まつり」に先駆けて行われる「さっぽろホワイトイルミネーション」はいまから35年前、1981年に開始しました。当時の札幌は夏の観光が主流。札幌の美しい冬景色をより多くの人に知ってもらうために、雪が降る札幌ならではの白銀の景色と美しいイルミネーションを融合させた幻想的なイベントを産み出しました。初年度に使われた電球の数は1048個。現在は大通公園だけではなく駅前通・南一条通へと規模が拡大し、合計52万個もの電球が街を彩る大イベントへと発展しました。
その他の札幌の名所といえば、札幌市時計台や、赤レンガ庁舎(北海道庁旧本庁舎)が有名。この二つをめぐる際には、建物のどこかに刻まれた「赤い星」を探してみてください。これは、かつて開拓使が旗や建物に描いた「五稜星」がルーツ。札幌の歴史を物語っています。
1878年、クラーク博士の構想に基づき建設された札幌市時計台
雪化粧の赤れんが庁舎(北海道庁旧本庁舎)
北海道の歴史的遺産、北大ポプラ並木
札幌市北区北8条西5丁目 北海道大学構内
北海道大学構内のポプラ並木は、「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選ばれた、北海道を代表する歴史的遺産です。
ポプラ並木の基となったのは、北海道大学の前身である札幌農学校時代の1903年に、数本のポプラが植えられたことが始まりでした。1912年になると林学科の学生たちが実習の一環でさらに45本のポプラを植えたことから、並木道を形成するようになったと言われています。
現在は大切に保存されているポプラ並木ですが、過去には伐採の危機にさらされたことも。1959年に大型台風が襲来し、10本近くのポプラが倒れてしまうと、安全面などの問題から、残りも全て伐採しようという意見が出ました。それを救ったのが、小学校5年生の女の子から当時の北海道知事への1通の手紙でした。「私たちのポプラがかわいそう。植え直してあげてください」。彼女の切実な願いから、北海道と北海道大学の協力でポプラが植樹され、それ以前よりも長い300mの並木道へと成長しました。
雪の降り積もる時期になると、銀世界の中でそびえ立つポプラ並木が、美しい景観を生み出します。
さっぽろ産業振興財団の佐藤有史さん(右)。学生時代はサッカー部でした。
屯田兵が暮らした家屋「琴似屯田兵屋(ことにとんでんへいおく)」
北海道の警備と開拓を目的に本土から入植してきた屯田兵は、政府によりあらかじめ用意された「兵屋」を住居としていました。琴似神社で保管されている琴似屯田兵屋は、当時の兵屋の原形を残す数少ないもののひとつ。北海道指定有形文化財に認定されています。
兵屋は一戸建てで、村ごとに定まった規格で作られていました。琴似屯田兵村では木造平屋で、間取りは土間と居間、8帖、4・5帖の和室からなり、全体で約17坪の広さでした。囲炉裏や火鉢などの道具からは、屯田兵が北海道の長くて厳しい冬の寒さに耐え、屯田兵としての使命をまっとうしようとした逞しさがうかがえます。
札幌市西区琴似1条7丁目 琴似神社境内
北海道最古にして最大級の商店街
狸小路商店街は、北海道内で最大級の規模を持つ商店街です。7ブロック総延長は約900m、店舗数は約200軒にものぼります。ドラッグストアやスーパーなど日用品を扱う店から土産物店などさまざまなお店が並び、地元の人をはじめ海外からの観光客で賑わっています。屋根付きで、雨や雪の日でも傘をささずに歩けるのも便利。足元が滑る心配もありません。
「狸小路」の名前にちなんで、商店街のいたるところで可愛らしい狸の置物を見かけます。狸小路五丁目には、「狸神社」の通称で親しまれている本陣狸大明神社も。しかし、なぜ狸小路の名になったかは定かではないそう。狸小路発祥について触れた『札幌繁昌記』1891年刊)によれば、街頭に立って言葉巧みに男を誘った女たちを狸になぞらえたことが由来の定説。この一帯に狸が生息していたから、とする説もあります。
狸小路は、北海道最古の商店街のひとつでもあります。始まりは、1869年に明治政府が開拓使を札幌に置いた頃に商家や飲食店が建ち並んだこととされています。
世界で初めてゴムタイヤを採用した札幌市営地下鉄
電車といえばレールの上を鉄輪で走るのが一般的ですが、札幌の地下鉄はゴムタイヤを採用しています。ゴムタイヤ車両は、粘着性が高いため加速・減速がしやすいのが特徴。駅間距離の短い札幌市営地下鉄において、この性能は重宝されています。最近では東京都内を走るゆりかもめなどにも採用されていますが、1971年に営業を開始した札幌市営地下鉄は、世界で初めてゴムタイヤを使った先駆者的存在でした。
札幌市交通局の中田奈津子さん
「大山慎介のちょっと暮らし北海道」の収録現場
右から北海道田舎プロデューサーの大山慎介さんとフリーレポーターの山本浩子さん
STVラジオ「大山慎介のちょっと暮らし北海道」は、北海道の魅力を伝えるラジオ番組です。パーソナリティーを務める大山慎介さんは、元北海道庁職員。気になる地域に試験的に滞在しながら移住を検討する「ちょっと暮らし」を、全国で初めて企画しました。現在は、「北海道田舎プロデュース」代表として活動中。柔らかい丁寧な物腰の内側には、北海道への熱い思いを秘めています。同番組制作担当の三井孝浩さんも「北海道の中でいちばん北海道のことを真剣に考えている人」と、大山さんのことを語っています。
見た目は饅頭、名前は「あんぱん」
右から代表取締役の本間幹英さんと、「看板娘」の大堀禮子さん。
1906年、銀座・木村屋の「桜あんぱん」が大変美味しいという噂をもとに、月寒の菓子職人・本間与三郎がまだ見たことのない「あんぱん」を想像して作ったのが「月寒あんぱん」でした。
今年4月に80歳を迎える大堀禮子さんは、「月寒あんぱん本舗ほんま」の店頭に立ち続けて50年。大堀さんとの会話を楽しみに来店する人も沢山いるそう。
札幌市豊平区月寒中央通8丁目1-10月寒中央ビル1階
昭和の思い出が詰まった博物館
札幌市西区二十四軒3条7丁目3-22
北海道のロングセラー商品「しおA字フライ」。アルファベット型のビスケットとして、1955年の発売開始以来、北海道の子供から大人までに親しまれています。製造元の「坂栄養食品株式会社に併設された「レトロスペース 坂会館」では、展示品は全て、同社の開発部長・坂一敬さんが50歳頃から20年近くかけて集めてきた昔のポスター、人形、骨董品等がびっしりと展示されています。
京都の鴨川よりえらい!?鴨々川
札幌市内を歩いていて、ちょっと気になるのが鴨々川。京都の鴨川を彷彿させるネーミングが目を引きます。 名前の由来は定かではなく、一説によると、札幌が京都にならって碁盤の目状の街づくりをしたことから、京都の鴨川にちなんだ名前にしたのだとか。その他、「カモカモ」という、サケを獲る道具を意味するアイヌ語を語源としているのでは?と推測している説など、諸説あります。
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